○久米南町手話言語条例
令和5年9月22日
条例第18号
手話言語は、音声言語(文字を含む。)である日本語とは異なり、手の形、位置、動きに加えて表情や強弱などを用いて視覚的に表現する独自の文法体系を持つ言語であり、手話を必要とする人が物事を考え、お互いの感情を理解し、知識を蓄え、文化を創造する上で、必要な言語として大切に育まれ、受け継がれてきた。
かつて手話は言語として認められず、ろう教育において口話法が推進されるなど、手話を使用することに多くの制約があり、長年にわたり手話は言語として社会的に認知されていなかった。このように、手話を必要とする人が自由に手話を使用できる環境が整えられず、そのため十分な情報を得られず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。また、聞こえる人も、手話を必要とする人について理解する機会が少なく、互いを十分に分かり合える環境になかった。
このような状況の中で、平成18年に国際連合総会で採択され、平成26年2月に我が国について効力が生じた「障害者の権利に関する条約」や平成23年に改正された「障害者基本法」において、手話は言語として位置付けられたものの、いまだに言語としての手話への理解が十分であるとはいえない状況にある。そのため、町民及び事業者が、手話が言語であることを認識し、手話及び手話を必要とする人に対する理解を深めることが必要である。
私たち久米南町民は、言語として認められなかった手話の歴史を踏まえて、手話が言語であることを認識し、手話を普及し、手話を必要とする人への理解を広げ、また、手話を必要とする人が安心して暮らし、誰もが社会に参加し、互いに支え合うことができる共生社会の実現を目指して、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、手話は言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及びその普及並びに手話を使いやすい環境整備などの基本理念を定め、町の責務とともに町民及び事業者の役割を明らかにし、総合的、かつ、計画的に施策を推進することにより、全ての町民が共生する地域社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 手話に対する理解の促進及びその普及は、手話が言語であることが認識され、手話を必要とする人が手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利が尊重されることを基本として行わなければならない。
(町の責務)
第3条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話に対する理解の促進及びその普及を図り、手話を使用しやすい環境にするための施策を推進するものとする。
(町民の役割)
第4条 町民は、基本理念に対する理解を深め、手話に関する町の施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、町が推進する施策に協力するよう努めるとともに、手話を必要とする人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。
(施策の推進)
第6条 町は、次に掲げる施策を推進するものとする。
(1) 手話に対する理解の促進及び手話の普及に関する施策
(2) 手話による情報の発信及び手話を使用しやすい環境づくりに関する施策
(3) 手話を学ぶ機会の提供に関する施策
(4) 手話による意思疎通支援に関する施策
(5) その他町長が必要と認める施策
2 町は、前項に規定する施策の推進に当たっては、別に定める障害者に関する計画との整合性を図るとともに、必要に応じ、手話を必要とする人、その他関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めるものとする。
(その他)
第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。